平成レトロのデザインは、完成された様式というより、
試行錯誤の途中経過がそのまま可視化されたビジュアル表現として成立している。
昭和のデザインが、制約の中で洗練を重ねてきたのに対し、
平成のデザインは、表現手段が一気に増えたことで、
「どう作るか」「どこまで盛るか」を探り続けていた時代の記録でもある。
このページでは、
平成レトロを象徴するデザインを
グラフィック/ロゴ/パッケージという設計視点から整理する。
平成デザインの前提にあった環境変化
平成期は、デザイン環境が大きく変化した時代だった。
- デジタル制作の一般化
- 印刷・出力コストの低下
- 個人や小規模制作の増加
これにより、
「専門家だけが作るデザイン」から
多様な作り手が関わるデザインへと移行していく。
平成レトロのデザインには、
この移行期特有の不均一さが色濃く残っている。
グラフィックに見られる特徴
平成レトロのグラフィックデザインは、
整理よりも情報量が優先される傾向が強い。
- 文字が多い
- 要素が詰め込まれている
- 視線誘導が直感的
現代のミニマルな設計とは異なり、
「見せたいものは全部出す」という姿勢が前面に出ている。
これは未熟さではなく、
伝えることを最優先した結果だと捉えることができる。
ロゴデザインの考え方
平成期のロゴは、
企業やブランドの「象徴」というより、
分かりやすい目印としての役割が強かった。
- 文字情報が多い
- 装飾が施されている
- 一目で内容が想像できる
抽象的な記号よりも、
具体性や親しみやすさが重視されていたため、
後年から見るとやや主張が強く感じられることもある。
しかし、この分かりやすさこそが、
平成デザインの大きな特徴である。
パッケージデザインの役割
平成レトロを語るうえで、
パッケージデザインは非常に重要な要素だ。
- 商品説明を兼ねたデザイン
- 情報を詰め込んだ表面構成
- 見るだけで用途が分かる設計
平成のパッケージは、
「デザイン=装飾」ではなく、
情報を載せるための器として機能していた。
その結果、
視覚的には賑やかだが、
使い手にとっては理解しやすい構成が多い。
未完成さが生んだ独自性
平成レトロのデザインが現在注目されている理由は、
完成度の高さではない。
- 試してみた痕跡が残っている
- ルールが定まりきっていない
- 個性がそのまま出ている
こうした未完成さが、
現代の整ったデザインと対比されたとき、
独特の魅力として浮かび上がる。
平成レトロのデザインは、
「正解に向かう途中」の姿を残した、
極めて人間的な表現だと言える。
ポップ・配色と分離する理由
平成レトロのデザインは、
しばしばポップさや色使いと混同される。
しかし、
- グラフィック構成
- ロゴの役割
- パッケージの情報設計
といった要素は、
色やテイストとは切り分けて考える必要がある。
このページでは、
設計思想と役割に焦点を当てることで、
平成レトロのデザインを立体的に理解することを目的としている。
Q & A
Q1. 平成レトロのデザインはなぜ情報量が多いのですか?
A. 分かりやすさや伝達力を優先する設計思想が強かったためです。
Q2. ロゴが派手に見えるのはなぜですか?
A. 抽象より具体性を重視し、内容を直接伝える役割があったからです。
Q3. パッケージが賑やかな理由は何ですか?
A. 商品説明をデザイン内で完結させる必要があったためです。
Q4. 未完成さは欠点ではないのですか?
A. 現代から見ると、未完成さ自体が時代性として価値を持っています。
Q5. 現代デザインとの一番の違いは何ですか?
A. 整理や抽象よりも、直接性と勢いが重視されている点です。


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